ふつう「はり治療」と聞くと
注射針や縫い針を刺すような
イメージがあるそうです

 

鍼は痛そう、怖そうというのが
不本意ながら鍼の一般的な印象です

 

ですが、刺さないはりと聞けば
「刺さないってどういうこと!?」
と、今度は怪訝な顔をされます(笑)

 

鍼は刺す、刺さないに関わらず
あくまでツボを刺激することを
目的とした道具だということです

 

刺さない鍼は「触れる」という
皮膚とツボへの刺激で調整します

 

それでも、鍼が怖いという方には
衣服や、施術用のタオル上からで
「てい鍼」という刺さない鍼で
一切刺さないで施術もいたします

 

刺すのも、刺されるのも両方ともが
無理という、遠慮深いような方は
ただ触れて、さする手技で応対します

 

また、お客さんからの要望とは逆に
皮膚や筋肉の状態、全体の身体の様子
によっては、鍼の刺激が体質的に
合わない方もいらっしゃいますので
その旨を説明して手技やお灸だけで
対応するような場合もよくあります

 

鍼を刺す感覚も、刺さない感覚も
単に触れたり、揉んだりするのとは
異なった独特な手応えと感があります

 

なので、触れるとはいっても
鍼を用いている感覚の延長で
実際は行っているといえます
触れているのは、表面であるはずですが
奥深くにまでその感覚は響鳴していきます

 

鍼の有する感覚は、筋肉の緊張やコリ
骨の歪みだけでなく、身体を通じて
現れる、その人の感性や質感などの
一歩、踏み込んだところも徐々に
調っていく不思議な魅力があります

濤鹿堂

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