東洋医学では「部分」としての症状よりも、「全体」としての身体そのものの状態を整えることを重視します。

 

これは症状を無視しているということではなく、からだ全体の状態の反映が症状だと考えているからです。

 

東洋医学では、人体の内部における五臓の働きの関係性の統一、そして人体とその外部である気候や季節と風土などの環境との調和を重要視します。

 

前者の人体内部の関係性を統一するとは、胃腸に症状がある場合に、胃腸そのものを治療することよりも、内臓どうしの力関係を均一にするために胃腸を圧迫する肝臓の気を整えてよくなることがあります。

 

後者の人体と外部の環境との調和には、ある種のめまいの症状であれば、その原因が冬の季節の過ごし方に原因があるようなときは、その時に負担のかかった心臓を治療することでめまいが軽減できるようになります。

 

時には、現在の症状の原因が何十年もの前の手術に由来するものであることも少なくありません。

 

現代医学的な見地では、手術によってその病気に関してはすでに治しているものであるとの結論であっても、からだ全体の様相を重視する東洋医学的な見地では、その病気や手術によってそこに関連する他のところにバランスの歪みや問題が引き起こされているとだと認識します。

 

したがって、例として胃腸が思わしくないとして、ある胃腸薬を飲んで改善しない、さらに異なる種類の胃腸薬に変えるなどといったことを続けていってもよくならないのは、こうした背景の違いがあるといったことも理解して頂けるとよいかと思います。

 

いまの自分の病気や症状は、全体との関係ではどうなのかといったことも気にかけてみてはいかがでしょうか。

濤鹿堂

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