自分が鍼灸の道を志し、師事した恩師より
最初に教えていただいたことが二つあります。

 

一つは「鍼灸医術は患者さんの病気ではなく、
患者さんの身体を治療するものなのだよ」
というものでした。

 

治療の鍵となるものは、
様々な症状を呈する病気のほうよりも
むしろ患者さんの身体の状態にあることを
意味する恩師のこの教えは、
まさに目から鱗ほどの衝撃でありました。

 
よく患者さんからも

「先生は頭が痛いといっているのに
足ばかり治療するの?…」

 
「どうして肩が凝っているのに
お腹を治療するの?…」

 
などと不思議に思われてしまうこともしばしばです。

 

症状が出ているところは結果であって、
原因となるところは別のところにあり、
それによって全体のバランスが調っていきます。

 
二つ目は治療家の手…「とにかく手をつくれ!!」と
 

これも恩師に口やかましく言われてきたことです。

 

先ず、異和感のある箇所、ツボや急所を察知できる
そういう「手」でなければ話にもなりません。

 

次いで、異常を修正、調整できる加減がわかり
治せる「手」もまた必要不可欠であります。

 

ここら辺のレベルは、訓練して経験を重ねていけば
努力次第で到達は可能だと思います。

 

最後が、触れるだけで相手を落ち着かせ、
安心させられる「手」であるかどうか…。

 

そのうちに皆さん結構、慣れてこられると
 

「理屈は分からないけど先生にお任せします…」
 

と患者さんのほうから言って下さるようになります。

 
まだ道半ばではありますが、先人が残された伝統と
東洋医学にもとづいた鍼灸治療がもっと身近に
多くの方々にお役立て頂ければと思っております。

濤鹿堂

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